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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年1月号

日中平和友好条約締結20周年シンポジウム

21世紀のアジアを展望して―日中両国の果たす役割―


呼びかけ人代表挨拶

日中友好会館会長 後藤田正晴


 呼びかけ人の役割を務めさせていただきました後藤田でございます。一言、開会にあたりまして、ご挨拶を申し上げます。
 このシンポジウムは、いま、槙枝さんがおっしゃったような趣旨で、記念行事として催すことになったわけでございますが、みなさま方、日曜日にもかかわらず、こうして御参会下さいましたことに、心からお礼を申し上げたいと思います。
 ことに、中国対外文化交流協会常務副会長、中華全国日本学会会長をなさっていらっしゃる劉徳有先生が、中国からわざわざ御出席下さいました。そして、日本側から元中国大使の中江要介先生がお見えになりました。お二人に、特に感謝の意を表したいと思います。
 みなさま方はすでに御承知の通り、日中関係は日中共同声明と日中平和友好条約で定められました基本原則にのっとりまして、過去四半世紀の間に、両国の経済、教育、文化そして人の往来などが拡大深化して、順調に発展してきました。
 去る11月25日には、江沢民国家主席が中国の国家元首として初めて来日されまして、国賓としてわが国の首脳をはじめ、各界の方々と意見の交換をなされました。そして、両国首脳会談が行われまして、来世紀をのぞんで「平和と発展のための友好協力パートナシップの構築に関する日中共同宣言」が発出されました。両首脳の会談は、意見の小異は残りましたものの、やはり21世紀に向けての両国の友好関係のさらなる前進であって、私は誠に喜ばしいことであったと考えております。
 わが国は、今後とも中国との信頼関係をいささかも揺るがせないように努めることはもちろんのこと、今回の共同宣言の文言にありますように、共通の利益を最大限に拡大していく。そうして、相違点はこれをできるかぎり縮小する。こういうことにお互い努めなくてはならないのではないかと考えております。
現在、アジア各国は深刻な経済・金融危機のまっただ中にございます。各国の繁栄と国民の生活が、ややもすれば脅かされておるのではないか、日中両国もそれぞれに難しい国内問題を抱えて大きな転換期を迎えておるのではないか、と推察されます。
 しかし、日中両国の平和友好協力が、アジアの安定と繁栄の基軸であることは言うまでもございません。日中両国は、国内および国際環境の大きな変化に、相たずさえて迅速でしかも的確に対処して、相互理解と相互信頼に基づく友好協力関係をさらに強化する必要に迫られておるのではないかと考えております。
 21世紀の世界は、市場化、グローバル化そして情報化が一段と進んで、国民国家としての立場を維持しながらも、国境の壁はだんだん低くなって、相互依存関係がますます深まると考えられます。また同時に、国境を超えて、貧困や疾病、資源や環境などの問題への対処も考えなければならなくなるのではないかと、考えております。
 私たちは、21世紀が直面するであろうこういった問題に、どのように対処して、それを克服していくのか。真剣に考えて、長期的視点と全世界的な立場に立脚して、日中両国の果たすべき役割を考えることが、私たちの責務ではなかろうかと、かように考えます。
 今日のシンポジウムが、これらの課題を考えてみる一つの契機となれば誠に幸いです。みなさま方の率直で建設的な御討議をたまわって、成果をあげることができますように祈念しながら、私のご挨拶を終わらせていただきます。

  (文責・編集部)