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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年10月号
 

中小建設業者は訴える
大手が中小の利益を吸い上げる構造を変えよ

(資)筑後型枠 鎌田 紘一



 救済すべきは中小・末端だ

 戦後日本の経済をここまで支えてきたのは中小企業だ。これからの日本を支えるのも、大企業ではなく中小企業だと言ってよい。
 公的資金の供与を受けている銀行や大企業に比べると、中小企業には非常な元気もんがいる。特に北九州には最先端の中小企業がおる。
 中小の建設業者も十五年前と違って、技術は十分に持っており、大企業を追い越した面がある。大手ゼネコンは現場に人を出さず、仕事は全部下請けがやってきたので、人員養成が出来ていない。施工図も書けないのが大手にはたくさんいる。
 しかし、構造的なものは一つも解決されてない。大資本が小資本から利潤を吸い上げ、銀行の融資体制は大企業寄りで中小に融資しない。しかも、発注体制は2次、3次、4次下請けと二重構造どころではない。製造業も商業も、特に建設業では、大企業が中小の利益を吸い上げて大きくなってきた。中小企業基本法を改正するのなら、こういうところにこそメスを入れるべきだ。
 現場では仕事が少なくなった。私のところにも、仕事ないかって毎晩電話がかかってくる。2、3人使ってくれとか、何でもすると言ってくる。もう3ヶ月も働いていないのがたくさんおり、本当に可哀想だ。政府は仕事のない業者には無利子の融資を行うとか、仕事がきちんと入るような仕組みを考えるべきだ。
 政府は金融再生法だ、産業再生法だと言って、大手を救済しているが、逆ではないのか。実際に仕事をしている末端を助けるべきだ。
 例えば、熊本不知火町で高潮被害があった。役場にいくら金ばらまいたって解決しない。直接被害にあったのは末端だから、末端を救助しなけばならない。同じように建設業の末端はどれもこれも、高波を食らって沈没寸前だ。政府はそういうところに金を出すべきで、銀行や大手を救済すれば末端にも金がいくというのは、間違っている。
 実際に仕事をしている者を殺したら、立ち上がりようがない。そこのところを政府に一番分かってもらいたい。偉い人たちが国会で熱弁をふるったって、末端で黙々と働く者がいなきゃ何にも出来ないんだ。

 中小の利益を吸い上げる構造

 大企業が中小の利益を吸い上げる構造は、例えば建設業では次のようになっている。
 ゼネコンが仕事を受注すると、自分で工事をしたり、専門業者に直接発注せず、マージンをとって同類同格の会社に下請けさせることが多い。とくに最近は仕事が少なくて競争が激しいから、一つの工事に、2次、3次と下請けがぶら下がっており、いわゆる重層構造がひどくなっている。何としても仕事を取りたいと、県会議員や国会議員に頼むものも多い。元請けと末端の下請けの間に4社も5社も入っている場合がある。それぞれがマージンを取るから、末端の下請けに行くと工事代金は45%も引かれる。最近の国道工事では役所価格が1平米当たり4500〜5000円の型枠代金を2700円でという話があった。
 金額だけでなく支払い方法でも、末端は大手に吸い取られる。例えば公共工事では、元請けが4〜5割を前払い金としてもらい、工事完成後40日以内に残りをもらう。ところが、下請けには義務づけられている前払い金が払われていない。実際には、出来高の半分を現金で、残り半分は4〜6ヶ月の手形で払う。下請けは労働者にすぐ賃金を払わなければならないから、その間は、手形を割引して、利子を払って資金繰りをしなければならない。
 実際の作業はせず、中間マージンを取っているだけの業者がいる。福岡だけでも30社か40社は、材料置き場を持たず、現場作業員もおらず、貸しビルに事務所を持っているだけだ。そして天下りの官僚を抱き込んでいる。このような業者は排除すべきだ。
 私に工事代金を払わずに倒産した羽沢建設も、天下りの官僚を抱き込んでいた。全国に20カ所以上の事務所を持っていたが、自分のビルは一カ所もなく、すべて貸事務所で機材も全部リースだった。

 闘って工事代金を回収

 私の場合は、福岡北九州の都市高速道路公社が発注者、元請けがN建設、2次下請けが羽沢建設という仕事で、羽沢建設からの3次下請けだった。その羽沢が倒産し、1500万円の工事代金がもらえなくなった。何とかしてくれと泣きつき、6ヶ月以上交渉したが公社も元請けも関知しないと相手にもしてくれない。頭にきたから私が工事した高速道路の橋脚をユンボで壊して、自分の資材を回収しようとしたら逮捕された。
 高速道路は完成して公社に渡っていたから、公社と裁判で争った。発注者は公共工事約款という法律に基づいて契約する。元請けはどういう下請けを使うかを発注者に報告する義務があり、発注者は監督をする義務がある。だから、どうしても必要な下請けなのか、中間に立っている業者が支払い能力を持っているか、公社はチェックする必要がある。ところがすべて元請けまかせで、我々は関知しないと言うわけだ。
 N建設は商法上の問題はないと言い逃れをし、私は納得できなかった。共産党が中に入って交渉してくれ、N建設が八百万払うと言っているので、それで和解してくれと言ってきた。1500万のうち800万だ。事件起こす前の800万ならいいが、今では受けられんと蹴った。再度、共産党から800万で和解してくれと頼まれた。私は悪かったということで払うのならN建設は謝るべきだと言ったら、共産党の窓口になった民商は、それではハードルが高い、交渉にならないと言って、交渉は中断した。
 5月ころに、地元でN建設が仕事しているのを見つけた。下請け工事の報告が出ているのか、地元の土木事務所に聞いた。直営でやっているそうで書類が出てないと言う。それはおかしな話ではないか、地元の業者でも下請けを使うのに、東京の業者が下請けを使わずに出来るわけがないと追及した。結局、土木事務所の方から実は書類が出ておりましたと言ってきた。
 そんなことがあって、地元の土木事務所がN建設に、ケチな事を言わずに鎌田の言うとおりにしてやれと言っくれた。それでN建設から呼び出しがあり、交渉が再開された。ところが、間に立っている民商に、ちゃんと1500万出すように言ってくれと頼んだが、そんなことは言いきらん、800万で手を打てと言う。この野郎、間に入って敵から金もらっているのかなあ、労働者の味方かなんか知らんが、そんな馬鹿な交渉があるかと思った。地元の土木事務所から話が行っていることを言えば、また邪魔されると思い、N建設と直接交渉した。
 公社との裁判では、橋脚を壊した損害賠償として400万を請求されている。800万もらっても400万は払わなければならん。それでN建設に1200万出せと言った。みみっちい話で、N建設はそこから100万値切ってきた。結局、1100万で手を打ち、その中から賠償の400万を払った。
 私は公社に行って、あなた達の裁判は損害賠償金の要求だから、金は払ったので裁判を取り下げてくれと言った。その時は検討しますと言ったが、ズルズルと上告の判決まで持っていった。ものすごく腹が立った。公社の方は、N建設が対応しなかったことが問題なのだ、自分たちに責任はない、自分たちは橋脚を壊された方だ、という認識しかなかった。
 公共工事約款7条をみるかぎり、発注者側にも倒産するような会社を選んだ監督責任がある。しかも、修理には100万もかからんから、400万は法外な金額だ。400万のうち設計費がなんと160万だ。民間の工事では、2000万円の家を建てても設計費は100万もない。裁判官は公共工事の約款に基づいた見積りだと言って、私らの出した資料は権威がないと認めなかった。
(談・文責編集部)